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新生児マススクリーニング(NBS)体験談

新生児マススクリーニング(NBS)を受けたご家族よりお話をお聞きしました。
​※エピソードはあくまで個人の体験・所感です。
体験談1

【SMA新生児マススクリーニング検査を経験して】

 

 

私は新生児マススクリーニング検査のことは、息子を出産するまで知りませんでした。出産後すぐに看護師さんから説明書と同意書をもらいました。検査は公費のものと自費のものがあり、自費のものは5,000円くらいでしたが、あまり深く考えずに「念のため、受けられるものは全部受けておこう」と軽い気持ちで決めました。今では、受けておいて本当に良かったと思っています。

 

マススクリーニング検査の数週間後に病院から電話があり、すぐに大学病院を受診するように言われました。大学病院では、「SMAという病気の可能性があるから、遺伝子検査をしましょう。もし本当にSMAだったら、遺伝子治療をします」と言われました。初めて聞いた病名でしたし、とてもビックリして、なかなか頭に入ってきませんでしたが、同時に、そんなにすごい治療があるのか!と驚いて、なるべく早く治療を受けさせたいという気持ちになりました。

 

遺伝子検査の結果が出るまでの1週間は、毎日バタバタと子育てに忙しく、不安もありましたが、インターネットで詳しく調べるようなことはしませんでした。そのお陰で心配しすぎることがなく、良かったかもしれません。

 

SMAの確定診断が出てから2週間後に入院、それから1週間後に治療を受けました。入院中は「なんとか症状が出ませんように。1分でも1秒でも早く治療を受けられますように」と思っていました。

 

治療中は途中でグズって泣いたりしましたが、看護師さんが上手にあやしてくれたので、安心できました。治療後は少しだけ副作用などもありましたが、1週間後には退院できました。

 

SMAの遺伝子治療は根治に近いですが、新しいものなので、今後絶対に発症しないという保障はありません。でも、そんな不安を完全に忘れてしまうくらい、元気な息子と毎日忙しく過ごしています。いろんな経験をしながら、息子のペースで成長していってほしいですね。

 

新生児マススクリーニング検査については、知らないママやパパが多いと思います。「まさか自分の子が病気のはずがない」と思う気持ちも分かります。不安になってモヤモヤして考え込んでしまうこともあるかもしれませんが、SMAは治療が受けられる病気だから、安心のためにも、検査を受けてほしいです。もし早期に発見できたらラッキーだし、仲間がいっぱいいるから大丈夫ですよ、と伝えたいです。

 

1人でも多くの人にSMAのことや、早期発見・早期治療がどれほど大切かを知ってもらいたいです。たくさんの自治体ですべての新生児が平等に、必須項目として、無償でSMAの検査が受けられる体制が整うといいなと思います。

 

〜SMA新生児マススクリーニング検査 体験者のママより〜

体験談2

Q1.どのような経緯で新生児マススクリーニングを受けられましたか?

   病院の方から新生児マススクリーニングの説明を受け、「費用はかかるが、問題なければ受けていただくことをお勧めします」と言われたので、特にあまり考えずに受けてみました。夫婦二人とも医療従事者なので早期発見という意味では、このSMAに限らず何でも勧められたらやっておくに越したことはないというスタンスでした。出産から4日目に採血をして検査しました。費用は15000円程度でした。
 


Q2.要精密検査という結果を知ったのはどこですか?そのときの思いは?

   検査から2週間ちょっと後に病院から電話がかかってきて、陽性だったので精密検査が必要だと聞きました。私が働いている病院でもSMA患児がいたので、治療薬などについても知っていて、普通よりは知識がある状態でした。筋緊張低下の病気の中でSMAのように治療薬がある疾患はまだ少ないので、むしろSMAだったら良いなと思っていました。治療薬がなくて病院を転々とされているお子さんとか、診断名がつかなくて治療ができない疾患のお子さんの方が多いと思うので、むしろ治療ができるSMAで、ショックよりも嬉しさがありました。調べていく中でSMAだったら早期発見が大事と書かれていたので、発見がこんなに早かったら、きっとすぐ治療に取り組めるだろうと思いました。
 


Q3.遺伝子検査で確定診断を受けたときの気持ちは?

   遺伝子検査から2、3日で結果がかえってきました。要精密検査とかえってきて大学病院へ送られたときに、医師から「ほぼ確定だと思ってください」と言われていて、主人も私も100%そうだろうと思っていたので、病院で確定診断を聞いたときに動揺はありませんでした。
 


Q4.確定診断後の治療の流れは?治療後のお子さんの様子は?

   症状が出始めていたので最短で治療が開始できるように手配してもらっていました。確定診断の翌日、生後25日目でスピンラザを打ちました。負荷投与後、検査をしてゾルゲンスマの準備に入りました。症状が出始めたのは生後14日ごろで、腕が上がらない、把握が弱い、ミルクを飲む時間がかかると言われました。
治療開始3日目あたりから、手のひらに指を置くと少し握るようになり、そこから持ち上げられるようになりました。
 


Q5.これからお子さんについて心配なこと、望んでいることは?

   運動機能は上がっていると思いますが、風邪でもないのに痰が絡んでいる感じがあるので改善できたら良いなと思います。将来、もちろん歩けたらとは思いますが、こんなに早く見つけてもらって治療が受けられているので、気管切開等の医療的ケアが比較的少ない状態で大きくなってくれたら良いと考えています。
 


Q6.新生児スクリーニングを受けて良かったかですか?
また、今後受ける方や受けることを迷っている方にメッセージをお願いします。


   受けて良かったのは、間違いありません。拡大スクリーニングを行っている病院だったから受けられましたが、小さい産婦人科だったら受ける体制になっていなかったと思います。受けられる環境なら受けた方が良いと思います。費用がもう少し安くなってくれたらもっと良いですが……。早期発見で治療ができる病気だから、特に受けられない理由がなければ受けた方が良いですし、もし受けずにSMAだった場合、早くても3、4か月健診ごろに見つかって、そこから治療という形になってしまうのは、遅いと思うので。
レアな病気なので陽性になる可能性は低いと思いますが、実際にこうやって見つかってもトントン拍子で治療に進めるので、まずは受けることが大事だと思います。病気自体を知らない方が多いと思いますが、早く見つければ見つけるほど、早く治療ができるし、その後の治療成績も上がります。長い目で見たときに、後々やっておいて良かったと思うでしょう。早期発見が大事です!
 


Q7.医療従事者であり患児の親でもある立場から、SMAの治療についてどう思いますか?

   医療従事者なので治療について知識があるぶん、副作用について等、怖さや不安な気持ちもありました。ただ、長い期間かけて承認されているので、それだけの効果・有用性が証明されていると思います。海外では高額な治療費を払って受けなくてはいけないものを、日本ではほとんど自己負担なく受けさせてもらえます。海外でそこまで高額でも受けたいと思っている方がいるということは、それだけ効果が見込まれているということだと思うので、副作用以上の効果が考えられます。遺伝子を入れる治療はかなり画期的な治療かなと思います。まさか、我が子がそんな薬を使うなんて思ってもみませんでしたが、治療がある今の時代に生まれてきてくれて、本当に良かったなと思っています。

「早期発見が大事です!」​
新生児マススクリーニングを受けたご家族へ
当時の思いなどお聞きしました。

体験談3

【産まれてくる子供たち皆に平等にあるべき検査】

今回SMAが発覚した娘は三人目の子供なのでNBSの事は以前から知っていたのですが、2020年から実施されている拡大NBSについては通院中に初めて産院の方から教えて頂きました。
「12,000円の有料検査ですが追加しますか?」とパンフレットを頂き「余裕があるのなら是非やってみてください」との事でしたので、その場で検査を依頼しました。
 
そして、拡大NBSの事をすっかり忘れた頃に娘が産まれました。上二人がが産まれた時と比べても変わったところは特にありませんでした。入院中に一度体重の減少がありましたが、SMAと関係があったのかは今でもわかりません。
 
退院してから5日後の夕方(生後9日目)、産院からたくさんの着信が残っている事に気づき、すぐに電話を折り返すと、「拡大NBSのSMAの項目が再検査となったので、別の病院で詳しく検査をして下さい」と言われ「???」状態でした。そしてこちらの日程の確認もなく「3日後の月曜日に予約をとっているので必ず行ってほしい」との事でした。「わかりました、でもどんな病気なんですか?」とききましたが、詳しく教えてくれませんでした。電話を切った後、「まあ、何かの間違いだろう」と思いつつSMAを検索してみて、動揺しました。病気の事を知れば知るほど娘の将来を悲観し、涙が出ました。SMAのチェックリストを何度も確認し娘の身体を調べ、不安な週末を過ごしました。でもこの時はまだ「再検査したら陰性だろう」と言う思いが大きかったです。信じたくない気持ちがありました。
 
しかし再検査の診察時に、そんな期待は間違いだったと気づきます。
 
再検査なのにも関わらず、数多くの医師が私の顔色を伺いながら丁寧にSMAについて説明してくださり、治療すれば希望がある事を教えて下さいました。
私はあまり話が耳に入っていなかったと思います。ただ「これは再検査しなくても、先生たちは確定だともうわかっているんだ」とショックを受けました。
上二人の兄弟もSMAの可能性があると言う事で、娘の検査結果の診察と共に二人の血液検査の予約もして頂きました。
 
そして生後16日目、”SMN1遺伝子 欠失   SMN2 遺伝子 3コピー”の検査結果を頂き、娘はSMA確定診断を受けました。
 
確定診断を受ける前の数日間で、私も夫もSMAについて調べましたので、ある程度覚悟は出来ていました。
自分達の気持ちより、まずは早く治療を受けさせたい。娘の未来を明るく楽しいものにしたい、そう思って今後の事を夫と沢山話し合いました。
 
SMAの治療は早期に始める事が大事との事で医師の方々も早急な対応をして下さいました。
娘はまだ症状が出ていませんでしたので、スピンラザの投薬はせず、生後29日目でゾルゲンスマを投薬できる運びとなりました。
 
体調不良だと投薬出来ないと医師から言われていたので、確定診断から入院までの約2週間は娘の体調管理に気を使いました。
上二人の兄弟は保育園を休ませ、夫はなるべく在宅勤務にし、ウイルスを持ち込まないようアルコール消毒や加湿器、空気清浄機を使い無事にゾルゲンスマを投薬出来るようほとんど外出せず過ごしました。
だいぶ神経を張り巡らせていたので、入院後無事に投薬出来た時はすごくほっとしました。
 
投薬は準備時間も含めて二時間前後で終了しました。
その後退院まで副作用はひとつもなく、娘は元気に過ごすことが出来ました。
現在生後2ヶ月近く経ちますが、発達は定型児と変わらないと医師から言われています。
退院後も今のところ副作用は出ていません。
 
上二人の兄弟の検査結果は入院中に頂き、陰性でした。とても安心しました。
二人共今回SMAが確定した娘と同じ産院で出産しましたが、その頃はまだ拡大NBSが実施されていませんでしたので、もし上二人のどちらかがSMAだった場合、私は今でも病気に気づいていなかったかもしれません。
拡大NBSを実施している都道府県は現在も少なく、ゾルゲンスマが承認されたのも最近です。2022年に娘を授かり、私たち家族はとても幸運でした。
 
これも様々な方がSMAの治療や拡大NBSについて働きかけて下さったおかげだと思います。
心から感謝しています。ありがとうございます。
 
私たち家族のような偶然幸運に巡り合った事例はとても少ないと思います。
こういった検査は産まれてくる子供たち皆に平等にあるべきです。

「検査費用がかかるからやめておこう」と検査をされない親御さんがいらっしゃる事も考えられますが、それ以前に産院で実施していなければスタートラインにも立てません。
 

ですので、近い将来拡大NBSが無料となり、全国で実施され、SMAとして産まれた子供たち全員が早期の治療を受ける事が出来るようになって欲しいです。
ゾルゲンスマは新しい薬なのでこの先いつどうなるかはわかりませんが、家族で支え合い娘の成長を見守ろうと思います。

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